PTSDの歴史2 -戦闘ストレス反応-
ヒステリー研究がさらに進んだのは、第一次世界大戦(1914年~1918年)後のことです。
戦争後、多くの兵士の精神状態が悪化、もしくは破綻したことで、「砲弾ショック(「シェルショック」ともいう)」「戦争神経症」と呼ばれ、その特有の症状が注目されました。
その後、1960年代~70年代にはベトナム戦争が勃発し、そこでも多くの帰還兵士の精神が破綻していることがわかりました。
米国内では精神疾患を患った多くの帰還兵士の問題が後に社会にまで波及しました。
これらを受けて、アメリカでは兵士に何が起こったか、徹底的に研究する必要性が生まれたのです。
兵士は常に生命の危機にさらされ、砲弾を浴びる恐怖に怯えています。
自分の身の安全に神経を尖らせるだけではなく、戦場では人の命が簡単に吹き飛び、残酷極まりない光景を絶えず目の当たりにします。
そのような極限の緊張状態・恐怖が長引くと、苛烈なトラウマに縛られるようになり、後の精神破綻に繋がるのです。
帰還した兵士たちは、あまりに大きなショックで我を失い、その状態からなかなか立ち直れなくなります。
彼らのケアのために多くの人材が投入され、また研究が盛んに行われたことにより、1980年代前半にPTSDという概念が確立されました。
そしてその後は、戦闘帰還兵士たちが主軸になった研究が進んでいくことになります。