解離
「解離」は、フランスの精神医学者、ジャネが提唱した概念で19世紀終わりに登場しました。
具体的に言うと、解離とは、自己像の統合性が失われている状態で、トラウマになる出来事経験後に苦しいずなのに心が凍りつき、無反応・無表情状態になることです。
つまり、本来持つ「悲しみ・怒り・恐怖」とは別に、感情の乏しい自己像が現れ、現実の自分との隔たりを作るのです。
しかし、「感情の乏しい自己像」は本来の自分の姿ではなく、やがてはそれが本来の自分が持つ、激しい怒りや悲しみに変わっていきます。
トラウマ体験後に、このように解離が起きる理由は、現実を受け止めきれていないことにあります。
トラウマ体験は自分の許容範囲を越える出来事なので、その全てを一度に受け止めることができません。
そうすると、本来の感覚が麻痺し、辛さが襲ってこなくなります。
しかしトラウマ経験から暫く経つと、心に余裕ができてきます。
そこに、今まで感じてこなかった怒り・悲しみが突如現れ、喪失感に見舞われるのです。
ここで初めて現れた喪失感や絶望感が長期化すると、うつ病や人格障害を併発することもあります。
ですから、トラウマ経験直後に本人が冷静に見えても、周りの人は気をつけなくてはなりません。
無表情は、現実を受け止めきれない辛さの表れですから、本人が気丈に振舞っているように見えても、思いやりをもって接することが必要です。