惨事ストレス
東日本大震災で投入された警察官や消防隊員の中の9割が、現地で何かしらの大きなストレスを経験しました。
大惨事の現場で支援者が抱えるストレスを「惨事ストレス」といいます。
惨事ストレスが初めて注目されたのは、阪神大震災のことです。
この時、現場に駆けつけて救援活動に当たった消防隊員の多くがストレス症状を訴えたことで、民間団体や消防庁がストレスケアチームを設けました。
そして今回、地震のほかに、津波や原発事故の問題が重なり、被災者の数が阪神の時よりも更に増えました。
そのことにより、ベテランの消防隊員だけでなく、多くの経験の浅いメンバーも被災地入りしなければなりませんでした。
彼らは経験不足のため、現場でのストレスに適切に対応できないことがあります。
それ故、今回の震災では、惨事ストレスによるPTSD発症者数が阪神の時から更に増えたのです。
ストレスは休息をとることで緩和されますが、みんなが辛い作業を休みなく続けているのを見ると自分には休む時間はないと思い込み、無理をしてしまいます。
このようにしてストレスの問題で苦しむようになった消防隊員のために、消防庁は、2013年度から消防隊員の本格的なストレスケア対策に乗り出すことを決定しました。
消防庁の策が功を奏し、今後一人でも多くの人が惨事ストレスから解放されることが期待されます。