そのほかの認知行動療法
認知行動療法は、つらいトラウマ経験を想起して向き合うばかりではありません。
暴露した中から更に進み、トラウマ経験前と後の自分を比較しながら、歪んだ思考を矯正していく方法もあります。
例えば、何かの事件に巻き込まれたと想定して、トラウマ経験前後を比較してみます。
事件前の自分は、人に対してどのように接していたのでしょうか?
また、周りの人たちは、本当に誰も自分を理解してくれない存在なのでしょうか?
PTSDを発症すると、人間不信に陥ったり、全てのものが不快な存在として受け止められます。
しかし、以前は人との信頼関係を築くことができ、恐怖心なく外を歩きまわることができたはずなのです。
それでは、同じ人間関係や周りの環境について、何故受け止め方が変わってしまったのでしょうか?
このようにして、種々のことを事件前後と比較しながら客観視していくことは、PTSD克服に大変必要なことです。
暴露や認知修正の中で、日記をつけることが早期回復に繋がることもあります。
思いつくままにトラウマ経験や過去の自分について書き記し、その内容を主治医と共に検討していくのです。
そうすることで、主治医にも普段考えていることが伝わりやすくなります。
主治医が患者の心をより理解すれば、治療に対して対策を講じやすくなり、PTSD治療がよりスピーディーに進んでいくことが期待できるようになります。