睡眠の阻害
PTSDを発症すると、安眠や熟睡は得られなくなり、しかもそれがずっと続くことになります。
いつまで経っても眠くならず、眠ることができても浅い睡眠しか取れなくなり、慢性的な不眠状態に陥ります。
熟睡ができなくなる最大の原因は、体の極度の緊張状態です。
トラウマになる強烈な体験をすると、些細なことで驚いたり怖がったりするなど「過覚醒状態」が続きます。
通常、私たちは、日中に気を緩めないで過ごすと疲れ果て、夜はぐっすり眠ります。
しかしPTSDによる不眠の場合、過覚醒状態が24時間続いてしまうので、眠りに落ちることができないのです。
こうしたことから、いくら睡眠時間を確保しても疲れが取れず、健康を阻害していくことになります。
もう一つ、質の良い眠りを阻害する原因に「悪夢」が挙げられます。
私たちは寝ていると、よく夢を見ます。
いい夢・悪い夢など見る夢の内容は様々ですが、一般的にはストレスの度合いが大きいほど悪夢を見やすいと言われています。
そして、PTSDを発症している人の場合は、本当に悪夢しか見なくなるのです。
ですから、安眠できる時が全くなくなります。
フラッシュバックが夢に再現されることもあるので、夢の中でも恐怖に縛られることになります。
悪夢は、薬物の投与で取り除くことはできません。
PTSDを克服することのみが、悪夢から解放される唯一の手段になります。