死にまつわることによる原因
人は本能的に「死」を怖がる傾向があります。
それは、どのような道を辿って死ぬことになっても同じです。
老衰・病死などが、事故や事件などに巻き込まれなかった人が最終的に迎える「死」の最も一般的なイメージでしょう。
しかし、突発的に自分が絶命する危機にさらされれば、それは紛れもなく大きな恐怖を生みます。
自然災害や犯罪の被害者の心にPTSDの原因になる最も大きなトラウマを植えつけるのが「命の危機にさらされた恐怖」の体験なのですが、それ以外にも「他人の死」もまた、人にとって大きなストレスになります。
例えば目の前で恋人が事故死する、家族が津波にさらわれてしまう、などの光景は、その後の人生を大きく左右するほど強烈なストレスになります。
特に想定外の死(末期がんなどでで少しずつ衰えていく以外の、突発的な死)の前で、人は無力で思考が対応できなくなります。
愛する人、依存する相手を失ったときの喪失感を特に「対象喪失」といい、PTSDを発症する大きなきっかけの一つになります。
人や飼っているペットが普通に死を迎えて悲しむ以上に、その後の人生を困難なものにする様々な症状を誘発するのです。
このようなことは特に、交通事故という個人レベルの事故よりも、災害で壊滅的な被害を受けた町や、交通機関で起きる大災害など、規模の大きな場面で死を経験する時のほうがPTSDを発症しやすいといわれています。