行動回避

PTSDを発症させる強いトラウマ体験があると、人はそのトラウマ体験に関連する物事を全て自分の中から排除したくなり、無意識のうちに様々なものを避けるようになります。

これが、「行動回避」です。

例えば、交通事故で九死に一生を得た人がその後PTSDを発症する場合、交通事故を想起させるあらゆるものを避けようとします。

交通事故を想起させるもの、それは車に同乗していた人であったり広い道路、鳴り響くクラクションなど多岐に渡ります。

また、交通事故を思い出すきっかけは、テレビドラマや映画、小説などということもあり得るでしょう。

もし広い道路や車が鳴らす音が怖ければ、外に出ることは不可能です。

また、家にいても、テレビなどの娯楽で気分転換を楽しむことができず、どこにいても交通事故の思い出を遮断できないことを思い知らされます。

車も道路も見たくなければ外に出られないばかりでなく、会社や学校に行けなくなり、交友関係に支障が出るのは必至です。

そして、自分の行動をトラウマ経験で縛り続けることにより希望を見出せなくなっていき、意欲や興味・関心のレベルが低くなっていきます

人は誰でも苦い経験を想起させる物事を回避しようとします。

それ自体は全く不自然なことではありません。

しかし、度を越えた回避行動は自分の生活を困難なものにし、益々心を追い詰めることになるのです。

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