解離性障害
「解離性障害」は、自分が自分でないような感覚に陥り、現実感の乏しさ、過去の一部が全く思い出せない記憶の障害などを起こすものです。
そして、その中で最も重篤な症状を伴うものを「解離性同一性障害」といいます。
症状としてまず第一に挙げられるのは、「解離性健忘」です。
これは、過去の一部の記憶が全くない、或いは、過去の自分の記憶が全くないような状態で、本来覚えていて然るべきことを全く思い出すことができません。
主に、トラウマ体験から身を守るために心が凍りつき、記憶を封じ込めているケースが考えられます(前述「解離」参照)。
私たちも日常的に、記憶の一部がすっぽり抜けていることはよくありますが、それが日常生活に深刻な影響を与えている場合には、治療が必要になります。
解離性障害の中でも最も重症といえる「解離性同一性障害」はさらに複雑になります。
かつて「多重人格症」と呼ばれたものですが、自分の中に幾つも人格があり、それらの統制が取れない状態が続きます。
本来の自分が自分の別人格をコントロールできないことで、全く記憶にないことをやってしまっていることがあります。
これらが起こる原因として挙げられるのは心的外傷、つまりトラウマ経験です。
そういう意味では、PTSDと共通するところが多くあると思われます。
PTSDとは「合併」という形ではなく「近い関係」という位置づけがされています。