自然災害による原因
日本でPTSDが注目を浴びるようになったのは、1995年の「阪神・淡路大震災」でのことです。
このときの被害者は例外なく精神的不調を訴え、その中の多くの人が、PTSDを発症しました。
自然災害は予期できず、震災に備えて防災グッズを買い込んでも、災害そのものをくい止めることはできません。
災害は突然やってきて、私たちの予測不可能な被害をもたらします。
自然災害で考えられるそのほかのリスクは、
- 命が危険にさらされる
- 大切な人や物を一瞬で失う
などです。
自分の命が危険にさらされ、5分後に自分が生きているかどうかがわからない状態は、言うまでもなく大きな恐怖です。
また、震災における実害のみが大きなストレスになるのではありません。
大切な人やものを失って思考が止まり、現実にうまく対処できなくなった後も避難所生活などで苦痛を強いられます。
突然生活環境まで変わり、震災で負った痛みや苦しみを癒す場所も与えられずに集団生活を余儀なくされると、ストレスは蓄積していきます。
結果的に、PTSDにかかるリスクを少しでも軽減させるどころが、そんな余裕までなくなります。
ですから、自然災害では、PTSD発症にいたるまでの期間も様々な困難が待っているのです。
東日本大震災では、現地に入ったボランティアメンバーやマスコミ関係者が、その無残な光景を目の当たりにし、PTSDを発症した例も多く報告されています。