症状の三大要素
まずはじめに、症状を大別する三大要素について説明します。
PTSD特有の症状は、大きく「再体験」「回避・麻痺」「過覚醒」に分類することができます。
1. 再体験
これは、トラウマ体験をしたことが、いつまで経っても記憶に蘇ることです。
幾ら思い出したくない記憶でも無意識のうちに呼び起こされ、しかも恐怖体験がリアルにはっきり思い出されるので、再体験によって何度も同じ恐怖で苦しみます。
ここには「フラッシュバック」「悪夢」などの症状が該当します。
2. 回避・麻痺
人はできるだけ恐怖心を抱きたくないものです。
特に強烈なトラウマ体験をした後では、恐怖を思い出したくない気持ちが何倍にも膨れ上がっています。
その中で、体験を思い出させるような場所や状況、人々を避ける傾向が生まれます。
それは意識的にも行われ、無意識のうちにトラウマの類似状況を回避していることもあります。
「解離性健忘」や「感情の鈍化」などがここに該当します。
3. 過覚醒
PTSDの原因となるような強烈な体験の後、その興奮から覚め止まない状態が続きます。
以前に比べて警戒心が過剰に強くなり、些細なことで驚いたり怒ったり、慢性的な神経の昂ぶり、極度の緊張状態が続きます。
生活の中で神経過敏状態から抜け出せなくなり、それ故、苛々することが頻繁にあります。
「不眠症」「集中力の低下」などがこの要素に該当します。