C-PTSD 複雑性PTSD(Complex Posttraumatic Stress Disorder)
PTSDの中でも、ここ数年で、従来のPTSD診断基準から独立しようとしているのが、C-PTSD(複雑性PTSD)です。
C-PTSDの主なトラウマ体験は、幼児虐待、性的虐待や戦争経験などです。
これらの体験に共通することは、長期にわたりトラウマになる経験を強いられることです。
偶然遭遇した事故や事件は、一度だけ経験することが多いのですが、虐待や殺戮の場面での体験は何年にもわたり続きます。
その長期的な過程の中で、自尊心を奪われ、屈辱的経験を強いられた結果としてPTSDを発症すればC-PTSDと診断されます。
C-PTSDの場合、特に人格形成やその後の人生に多大なダメージを与えます。
人格形成期に虐待され続けると、その後の人格は変貌し元に戻すことができません。
また、性的虐待が続けば、人を正しく愛することができず、愛情の問題が生じます。
C-PTSDを発症した人は、PTSDを発症した人に比べ、モラル・安全感覚や信頼感が著しく低いのです。
これらのことは、トラウマ体験者を犯罪に走らせ、問題をより深刻化させます。
勿論、全てのC-PTSD患者が罪を犯すわけではありません。
ただ、健全な状態をあまりに長く経験していないことで、社会で健全に暮らしていく道もまた険しくなります。
C-PTSDの診断基準は、2013年のDSM(アメリカ精神医学会の診断基準)で正式に独立する予定です。