これからのこと

東日本大震災直後では、被災した地域の人たちのみならず、救助活動に当たった消防隊員や自衛隊員、メディア関係者、テレビを見続けた一般の人々など、様々な人たちがPTSDをはじめとするストレス症状に悩まされました。

これは、今まで私たちが経験したことのない規模での「集団ストレス」です。

そして震災から2年経った現在(2013年3月)、メディア被災によるストレスは殆どなくなり、被災しなかった人たちには元通りの生活が戻ってきています。

その一方で、いまだ被災地で暮らす人たちの中では徐々に格差が生じており、そのことが、被害者の心理状態を大きく左右しています。

震災後、速やかに転居できた人といまだ仮設住宅で生活している人、十分な補償が得られる人とそうでない人など被災地域では様々な格差社会が形成されています。

その中で、震災ストレスからとっくに立ち直っている人たちもいますが、PTSD症状がかえって悪化している人もいるのです。

2002年に起きた米国の同時多発テロ事件では、事件直後よりも事件から5~6年経った時のほうがPTSD発症者が増えたことがわかりました。

事件翌年の2003年や2004年にPTSDではなかった人が数年経ってPTSDを発症しているのです。

このことから、私たちも震災での経験を決して忘れず将来の心理状態悪化を避けるべく、対策を講じていくべきではないかと思われます。

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