薬物療法

薬物療法は、認知行動療法などのいわゆる「心理療法」と併用して行われます。

PTSD症状を持つと、たいていの人は不眠症やうつ状態などに悩まされます。

これは、脳内神経伝達物質のバランスが崩れているからです。

このような場合、脳内のバランスを整えるという意味で、薬物が効果を発揮することがあります。

PTSDで主に使われるのは、セロトニンに働きかけるタイプのものです。

セロトニンは、三大脳内神経伝達物質の一つで、心のバランスを整える作用があります。

セロトニンに重点的に働きかけ、副作用が少ないということで、2000年代に入ってからは「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」と呼ばれる薬物が広く使われています。

SSRIは、うつ病やパニック障害などほかの精神疾患症状でも利用されているので、ほかの精神疾患を併発した場合にも効果的です。

薬剤名でいうと、デプロメール・ルボックス・パキシル・ジェイゾロフト・レクサプロというものがSSRIに該当します。

そのほか、不眠症が特にひどい場合には睡眠薬、不安感が強い場合には抗不安薬など、症状に応じて様々な薬物の選択肢があります。

但し、薬物療法ではPTSDの克服は不可能です。

あくまで脳内のバランスを一時的に整えるもので、薬がないと元に戻ってしまいます。

その点は特にしっかりと理解しておくことが必要です。

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